健康診断の項目|その4-2:体外測定による検査(目・耳)
こんにちは、ナミキです!
今回は前回(身体計測による検査)に引き続き”目&耳による検査”について整理してみました。
- 血液による検査(糖代謝・脂質代謝・血球)
- 血液による検査(肝臓機能・腎臓機能・痛風)
- 排泄物による検査(尿・糞便)
- 体外測定による検査(身体計測・目&耳・血圧) ➡︎今回は目&耳!
- 体内測定による検査(腹部超音波・心電図など)
目と耳に関する検査については、ほとんどの方がご経験があるかと思います。そうです、視力検査や聴力検査などです。ざっくりですが、ちゃんと見えているか?聞こえているか?ということを調べる検査ですね。
今回はその他に、眼圧・眼底検査というものもあわせて紹介していきたいと思います。
それでは早速中身を見ていきましょう!
①目&耳検査|視力
判定区分 | 視力 |
---|---|
基準範囲 | 1.0以上 |
要注意 | 0.7〜0.9 |
異常 | 0.6以下 |
視力とは、物体の位置や形状を認識する力を数値化したもののことを言います。そして視力には大きく2種類あり、メガネやコンタクトレンズを使用した状態での”矯正視力”、メガネやコンタクトをしていない状態での”裸眼視力”があります。
視力検査では、普段の状態での視力を測定することが目的ですので、普段からメガネやコンタクトレンズを使用している人は、それらをつけた状態で検査します。
視力検査は、国際標準視力表示方式と呼ばれているランドルト環(”C”の形のもの)を用いた方法が一般的で、ランドルト環の隙間がある方向(例えば、右・左・斜め右上など)を答えて測定します。
視力の算出方法については、また別の記事にて紹介しますが、視力が1.0以上を基準範囲としているそうです。
②目&耳検査|眼圧
判定区分 | 眼圧 |
---|---|
正常範囲 | 10〜20mmHg |
この検査では、緑内障などを発見することが目的となっております。そもそも眼圧とは、眼球が球体を維持するために、眼球の内側から一定の圧力がかかっている状態のことを言います。
引用: 眼球の解剖図のラスト🎨【フリー素材】|看護roo![カンゴルー]
眼圧が高い状態が続くと、視神経が圧迫され萎縮し、”緑内障※”を引き起こす可能性が高くなるのです。一方、近年ではパソコンやスマートフォンにより目を酷使することで、眼圧は正常だけど視神経を圧迫し、緑内障を引き起こすという”正常眼圧緑内障”というケースもあるそうです。また眼圧が低下すると、硝子体の形を保つのが難しくなり、”網膜剥離”を引き起こす可能性も高くなります。
※緑内障:
「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」(日本緑内障学会ガイドライン)と定義され、見えない場所(暗点)が出現する、あるいは見える範囲(視野)が狭くなるなどの自覚症状があります。1)
視野が狭くなるということから、緑内障が疑われる場合には、どの程度の範囲が見えているのかを検査する”視野検査”というものを一緒に行うことが一般的です。
日本では緑内障の中でも、眼圧が正常な”正常眼圧緑内障”が多いことが知られており2)、これは継続的な目の酷使により視神経にダメージを与えることによって引き起こされることが原因の一つとなっています。
【ちょこっと豆知識】
字面では、緑内障と白内障は似ていますが、症状は異なります。
白内障とは、水晶体というレンズの役割を果たす組織が混濁する病気のことで、霞んだり、物が二重に見えたり、まぶしく見えるなどの症状が出現し、進行すれば視力が低下します。
出典:白内障|日本眼科学会
眼圧の検査方法には、”角膜接触法”と”角膜非接触法”の2通りがありますが、普段の健康診断では麻酔の必要がなく看護師や検査技師でも検査可能な角膜非接触法を受けることがほとんどです。
角膜接触法とは、麻酔薬を角膜に点眼し、細隙灯顕微鏡を使って組み込まれているチップを一瞬、角膜に触れされることによって計測する方法です。角膜非接触法とは、角膜に触れることなく、圧縮空気を一瞬、角膜に吹き付けて眼圧を計測する方法です。3)
③目&耳検査|眼底
目的病変 | 判定分類 | 基準値(進行度or所見) |
---|---|---|
動脈硬化 | シェイエ分類 – 動脈硬化性変化(SS) | 0度(異常なし) |
高血圧 | シェイエ分類 – 高血圧性変化(SH) | 0度(異常なし) |
動脈硬化&高血圧 | キースワグナー分類(KW) | 0群(異常なし) |
糖尿病網膜症 | 改変Davis分類 | -(網膜症なし) |
糖尿病網膜症 | 新福田分類 | -(網膜症なし) |
糖尿病網膜症 | スコット分類(Scott) | -(網膜症なし) |
糖尿病黄斑浮腫 | – | -(浮腫なし) |
この検査では、眼底の状態から様々な病気の可能性を推測する検査となっております。そもそも眼底とは、眼底鏡や眼底カメラなどを用いて眼球を覗いた時の奥側部分のことで、そこにある血管・網膜・視神経などを観察し、診断します。
眼底検査は眼科検査の中でも特に重要であり、眼底の所見からどのような病気があるのか、どのくらい進行しているのかを調べることができます。4)
【ちょこっと豆知識】
眼底(目)というのは、体の外側から血管を直接見ることができる唯一の場所です。
また、定期健診のなかで法律で定められた目の検査は視力検査だけ、ということからも非常に重要な組織だということがわかりますね。
出典:目の病気の早期発見のためには眼底検査が大切です。 | 日本眼科医会からのお知らせ | 公益社団法人 日本眼科医会
④目&耳検査|聴力
判定区分 | 聴力 |
---|---|
基準値(1000Hz) | 30dB 以下 |
基準値(4000Hz) | 40dB 以下 |
この検査では、文字通り聴力、すなわち音の聞こえ方に異常がないかを調べる検査となっております。検査には、オージオメーターという装置を用いて行います。
一般的には、周波数が1000Hz(ヘルツ)と4000Hzの2つの音域において、基準値となる音の強さ(30dB(デシベル)および40dB)よりも小さな音を聞き取ることができればOKということです。
もし基準値以下の音が聞こえない場合は、難聴や中耳炎などの病気を疑います。また難聴が疑われる場合には、オージオメーターを用いて様々な音域および音の強さについて再検査をすることで、進行度を把握することができます。
まとめ
今回は、目や耳による検査についてまとめてみましたが、いかがでしたか?
個人的には、目や耳の病気は一番怖いなと思っています。見えない、聞こえないというのは生活の質(QOL:Quality Of Life)を低下させる可能性があるからです。日頃からのケアを大事にしていきたいですね。
また眼底検査がこんなにも重要な検査項目だとは知りませんでした。。。今後の健康診断では、注目して見ていきたいと思います。
以下に、今回の内容をざっくり整理しておきますね。
判定区分 | 視力 |
---|---|
基準範囲 | 1.0以上 |
要注意 | 0.7〜0.9 |
異常 | 0.6以下 |
判定区分 | 眼圧 |
---|---|
基準値 | 10〜20mmHg |
目的病変 | 判定分類 | 基準値(進行度or所見) |
---|---|---|
動脈硬化 | シェイエ分類 – 動脈硬化性変化(SS) | 0度(異常なし) |
高血圧 | シェイエ分類 – 高血圧性変化(SH) | 0度(異常なし) |
動脈硬化&高血圧 | キースワグナー分類(KW) | 0群(異常なし) |
糖尿病網膜症 | 改変Davis分類 | -(網膜症なし) |
糖尿病網膜症 | 新福田分類 | -(網膜症なし) |
糖尿病網膜症 | スコット分類(Scott) | -(網膜症なし) |
糖尿病黄斑浮腫 | – | -(浮腫なし) |
判定区分 | 聴力 |
---|---|
基準値(1000Hz) | 30dB 以下 |
基準値(4000Hz) | 40dB 以下 |
次回は体外測定による検査の最後となる”血圧”についてまとめていきたいと思います!
それでは今回はこの辺で。。。(パタリ)
参考資料
2)よくわかる緑内障―診断と治療― | 目についての健康情報 | 公益社団法人 日本眼科医会
3)祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 138〜139ページ
4)目の病気の早期発見のためには眼底検査が大切です。 | 日本眼科医会からのお知らせ | 公益社団法人 日本眼科医会