健康診断

健康診断の項目|その1-3:血液による検査(血液一般)

hyaaajiro@moriya

こんにちは、ナミキです!

今回は前回(血液による検査:脂質代謝)に引き続き「血液一般」という項目について紹介していきたいと思います。

  1. 血液による検査(糖代謝・脂質代謝・血液一般) ➡︎今回は血液一般
  2. 血液による検査(肝臓機能・腎臓機能・痛風)
  3. 尿・糞便による検査
  4. 体外測定による検査(体組成・視力・聴力など)
  5. 体内測定による検査(腹部超音波・心電図など)

血液一般についてですが、簡単に言い換えるならば、赤血球や白血球などの血球の状態を調べることで、貧血・炎症・止血などの状態を把握する項目になります。もっと簡単にいうと、血液を構成する成分の状態を確認する項目となっているのです。

普段から貧血に悩まれている方は、注意深く見たい項目になりそうですね。

定期健康診断の検査項目ではないですが、検査する可能性が高いものについても「※」で追記しておりますので、合わせてご確認ください。追加で受診できる特殊な項目(人間ドックなどの検査項目)については、受診先のお医者様に詳細な内容をお聞きしていただけると幸いです。

それでは早速見ていきましょう!

①血液一般検査|赤血球(RBC:Red Blood Cell)

判定区分赤血球(RBC)数
正常:男性400~539 ×104個/μL
正常:女性360~489 ×104個/μL
出典:血液一般 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会

この検査は貧血の有無を確認する項目であり、血液1 μL中に含まれる赤血球の個数を調べています。

赤血球についてはご存知の方も多いかと思いますが、酸素を運搬し、二酸化炭素を回収する役割を果たしています。また赤血球の主成分はヘモグロビンであり、鉄を含んだ色素とタンパク質が結合したものです。すなわち赤血球の個数が少なくなることで、酸素の運搬量が少なくなり貧血に陥るということです。

貧血にも様々な種類があるのですが、それはまた別の記事にて紹介したいと思います。

  1. 鉄欠乏性貧血 ➡︎最も多い貧血
  2. 巨赤芽球性貧血(悪性貧血)
  3. 再生不良性貧血
  4. 溶血性貧血
  5. 続発性貧血(二次性貧血)

②血液一般検査|白血球(WBC:White Blood Cell)

判定区分白血球(WBC)数
正常3300~8900 個/μL
出典:血液一般 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会

この検査は炎症や感染症の有無を確認する項目であり、血液1 μL中に含まれる白血球の個数を調べています。

白血球は骨髄で作られており、体内に細菌等の異物が侵入した時に白血球数が増加し、それらを取り込み無害化する、すなわち身体を守る役割を持っています。激しい運動や喫煙などにより白血球数が一時的に増加することもありますので、健診前にはできるだけ気をつけたいですね。

白血球には、5つの種類があるのですが、その詳細についてはまた別の記事にて紹介したいと思います。

  1. 好中球
  2. 好酸球
  3. 好塩基球
  4. 単球
  5. リンパ球

③血液一般検査|血小板(Platelet)

判定区分血小板(PLT)数
正常14.0~35.9 ×104個/μL 未満
出典:血液一般 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会

この検査は止血(血液凝固)機能の状態を確認する項目であり、血液1 μL中に含まれる血小板の個数を調べています。

血小板とは、骨髄で作られており赤血球や白血球と同じように血球(血液細胞)の一つですが、赤血球や白血球のように独立した核(細胞の遺伝情報が保存されているもの)を持っておらず、骨髄の中にある巨核球という細胞の一部から分離した(ちぎれた)ものとなっております。

止血の仕組みには2段階あり1)、血小板は主に1段階目(一次止血)で活躍します。もちろん2段階目(二次止血)でも活躍します。

一次止血とは、何らかの原因により血管が傷つき出血すると血小板が傷口に集まり、血栓を作り傷口を塞ぐことです。しかし、これだけでは脆く不安定な状態にあります。そこで二次止血では、血液中の凝固因子(フィブリノーゲンやプロトロンビンなど12種類)が働き、最終的にできたフィブリンが一次止血の血栓を覆うことで、完全な止血となるのです。

二次止血は非常に複雑な仕組みとなっているようですが、その中でも血小板はプロトロンビンを活性化しトロンビンに変え、このトロンビンがフィブリノーゲンをフィブリンに変化させているそうです。

④血液一般検査|ヘモグロビン(Hb:Hemoglobin)、血色素量

判定区分ヘモグロビン(Hb、血色素)値
正常:男性13.0~16.6 g/dL
正常:女性11.4~14.6 g/dL
出典:血液一般 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会

この検査は貧血の状態を確認する項目であり、血液1 μL中に含まれるヘモグロビンの量を調べています。そもそもヘモグロビンとは、赤血球の主成分のことで「ヘモ」は鉄分、「グロビン」はタンパク質の一種を指し、酸素を運ぶ役割をしています。

⑤血液一般検査|ヘマトクリット(Hematocrit)

判定区分ヘマトクリット(Ht)値
正常:男性40~50 %
正常:女性34~45 %
出典:ヘマトクリット値|e-ヘルスネット(厚生労働省)

この検査は貧血の状態を確認する項目であり、血液中に占める赤血球の割合を調べています。「ヘマト」が血液、「クリット」が分離という意味です。

血液に占める赤血球の割合が低い、すなわち赤血球の個数やヘモグロビンの量が少ないということで貧血の指標となっているのです。

⑥血液一般検査|平均赤血球容積(MCV:Mean Corpuscular Volume)

判定区分平均赤血球容積(MCV)値
正常83.0~100 fL ※f(フェムト):10-15
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 82-83ページ

これはその名の通り、赤血球の平均的な大きさを示しており、基準値内は「正球性」、基準値より大きいと「大球性」、小さいと「小球性」と呼び、貧血の種類を分類する際にどの貧血に当たるのかを調べます。(例:正球性貧血、大球性貧血、小球性貧血)

⑦血液一般検査|平均赤血球ヘモグロビン(MCH:Mean Corpuscular Hemoglobin)

判定区分平均赤血球ヘモグロビン (MCH)値
正常28~34 pg ※p(ピコ):10-12
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 82-83ページ

こちらもその名の通りで、赤血球内に含まれるヘモグロビンの平均的な量を示しており、基準値内は「正色素性」、基準値より高いと「高色素性」、低いと「低色素性」と呼びます。

MCVとMCHの値から、以下のような貧血の種類が分類されます。

  • 正球性正色素性の貧血:溶血性貧血、再生不良性貧血、出血性貧血など
  • 大球性高色素性の貧血:巨赤芽球性貧血など
  • 小球性低色素性の貧血:鉄欠乏性貧血など

⑧血液一般検査|平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC:Mean Corpuscular Hemoglobin Concentration)

判定区分平均赤血球ヘモグロビン濃度
(MCHC)値
正常32~36 %
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 82-83ページ

これは、1個の赤血球の大きさに対するヘモグロビンの平均濃度を示しています。

以上、MCV・MCH・MCHCの結果から赤血球の状態を判定して、貧血の診断に役立てているのです。

まとめ

今回は、定期健康診断における血液検査の項目についてまとめてみましたが、いかがでしたか?

個人的には、貧血にもいろいろな種類があるだなと学びを得ることができました。

以下に、今回の内容をざっくり整理しておきますね。

判定区分赤血球(RBC)数
正常:男性400~539 ×104個/μL
正常:女性360~489 ×104個/μL
出典:血液一般 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
判定区分白血球(WBC)数
正常3300~8900 個/μL
出典:血液一般 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
判定区分血小板(PLT)数
正常14.0~35.9 ×104個/μL 未満
出典:血液一般 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
判定区分ヘモグロビン(Hb、血色素)値
正常:男性13.0~16.6 g/dL
正常:女性11.4~14.6 g/dL
出典:血液一般 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
判定区分ヘマトクリット(Ht)値
正常:男性40~50 %
正常:女性34~45 %
出典:ヘマトクリット値|e-ヘルスネット(厚生労働省)
判定区分平均赤血球容積(MCV)値
正常83.0~100 fL ※f(フェムト):10-15
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 82-83ページ
判定区分平均赤血球ヘモグロビン (MCH)値
正常28~34 pg ※p(ピコ):10-12
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 82-83ページ
判定区分平均赤血球ヘモグロビン濃度
(MCHC)値
正常32~36 %
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 82-83ページ

次回は定期健康診断における「その2-1:血液による検査(肝臓機能)」についてまとめていきたいと思います!

それでは今回はこの辺で。。。(パタリ)

参考資料

1)血が止まる仕組み 一般社団法人日本血液製剤協会

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ナミキ
ナミキ
食品の「栄養化学」「食品生理機能学」に関する研究者
こんにちは、ナミキと申します!
私は京都大学で食品成分が持つ栄養やそれらが生体に及ぼす効果に関する研究を行っておりました。
そして現在は企業で食品の成分が持つ機能性についての研究をしております。

このサイトでは、食品の成分がどのような機能性を持っているのか、身体にどのような作用を及ぼすのかを体系的に学ぶことができるよう、情報発信をできればと思っております。
情報源としては、各省庁や各学会のホームページ、市販されている諸先生方の書籍、医学系文献データベースのPubmedなどを用いて、身近な物事について触れていきたいと思います。

基本的なことから少し踏み込んだことも含め、少しでも皆さんの日常生活に役立つような情報となれば幸いです(^^)
よろしくお願いします!
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