その他の検査

健康診断の項目|その5-2:体内測定による検査(電磁波)

hyaaajiro@moriya

こんにちは、ナミキです!

前回(超音波による検査)に引き続き、今回は電磁波による検査について紹介していきたいと思います。

  1. 血液による検査(糖代謝・脂質代謝・血球)
  2. 血液による検査(肝臓機能・腎臓機能・痛風)
  3. 排泄物による検査(尿・糞便)
  4. 体外測定による検査(身体計測・目&耳・血圧)
  5. 体内測定による検査(超音波・電磁波・電気) ➡︎今回は電磁波

電磁波についてですが、健康診断で使用されるものとしてはX線ラジオ波になります。検査内容としては、レントゲン(X線)・CT(X線)・MRI(ラジオ波)などによる画像診断となっております。

それでは早速中身を見ていきましょう!

①電磁波検査:胸部X線

対象部位対象疾患
肺癌、肺結核、肺気腫、肺線維、肺炎、気胸、胸膜炎、胸水、etc
その他気管支炎、心肥大、縦隔腫瘍、胸腺腫瘍、大動脈瘤、変形性脊椎症、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 72-73ページ

前回ご紹介した”超音波による検査”では、超音波を身体に当てて臓器などからの跳ね返りにより画像化するというものでした。今回の電磁波による検査も、原理としては同じような感じです。

電磁波を身体に当てて、通過するものしないもので画像化※をして、異常部位を見つけどのような疾患の可能性があるのかについて調べる検査となっています。

※画像化:X線が通過しやすい部分は黒く通過しにくい部分は白く映し出されます。なお、X線が通過しにくい部分の裏側の状態は分かりにくいので、正面からだけではなく側面からも撮影を行うことがあります。

胸部X線検査は、造影剤を必要としない検査となっています。

今回の胸部X線検査や次に紹介する”消化管X線造影検査”は、レントゲン検査とも言われています。これは1895年にドイツの物理学者ヴェルヘルム・レントゲン博士が”X線(目に見えない光、不思議な光という意味)”を発見し、その功績から1901年に第1回ノーベル物理学賞を受賞したことで、レントゲン博士に因みX線検査をレントゲン検査と呼ぶようになったそうです。1)

【ちょこっと豆知識】

そもそも電磁波とは一体何なのでしょうか?

電磁波とは、電界(電場)と磁界(磁場)が相互に作用しながら空間を伝播する波のことで、波長が短くなる(周波数が高くなる)ほど、電磁波のエネルギーは高くなります。

電界と磁界とはなんぞや?という感じですが、簡単にいえば電界は家電製品の周りなど電気のある場所のことで、磁界は家電製品の周りなど磁気のある場所のことです。どっちも家電製品で例えてみましたが、イメージしやすいものとしてはテレビやスマートフォンなどですね(笑)。

ひとまず今回ご紹介したいこととしては、X線とラジオ波は同じ電磁波ではありますが波長が異なり、X線は大量に浴びると危険なため、妊婦の方など健康診断の際にはお医者さんと相談しながら受診された方が良いということです。

出典1:電波の安全性に関するパンフレット|総務省 電波利用ホームページ

②電磁波検査:消化管X線造影

対象部位対象疾患
上部|食道食道炎、食道腫瘍、食道癌、食道ポリープ、食道静脈瘤、食道狭窄、食道裂孔ヘルニア、etc
上部|胃胃潰瘍、胃癌、胃ポリープ、胃炎、胃静脈瘤、胃憩室、急性胃粘膜病変、胃巨大しゅう襞、etc
上部|十二指腸十二指腸潰瘍、十二指腸ポリープ、十二指腸憩室、膵頭部疾患、etc
下部|大腸大腸癌、大腸ポリープ、大腸憩室、潰瘍性大腸炎、大腸結核、家族性大腸腺腫症、感染性腸炎、クローン病、etc
下部|直腸直腸癌、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 74-75, 118-119ページ

こちらも先ほど紹介した検査同様”レントゲン検査”にはなりますが、より身近な言葉とすると”バリウム検査”ではないでしょうか。

胸部X線検査との大きな違いとして、上部消化管(食道から十二指腸付近まで)を対象とする際には造影剤(硫酸バリウム)発泡剤を必要とするということです。硫酸バリウムはX線を透過しにくいため、画像には白く映し出されます。また発泡剤を使用することで、臓器(胃など)を内側から膨らませることができるため、臓器の形を観察し異常がないかを調べることができます。

検査の時には、可動式の透視台に横たわり、台を様々な角度に変えることで造影剤を臓器にまんべんなく行き渡らせるようにして行います。なお発泡剤を飲んでいるため、ゲップが出てしまうのですが、臓器(胃など)が縮むと形に異常があるのかを把握しにくくなるため、再度発泡剤を飲まないといけません

ゲップを我慢しないといけないというのが、なかなかきつそうですね。。。

下部消化管(大腸から肛門まで)を対象とする際にも同じように、造影剤(硫酸バリウム)空気を肛門から注入し、X線撮影をして、異常がないかを調べます。

下部消化管のX線検査をする際には、下腹部にX線を当てるので、妊娠している方やその可能性がある方は受けることができません。

③電磁波検査:マンモグラフィー

対象部位対象疾患
乳房乳癌、乳腺線維腺腫、乳腺症、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 76-77ページ

この検査は”乳房X線検査”とも呼ばれ、その名の通り乳房に異常がないかを調べる検査であり、胸部X線検査(造影剤や発泡剤は使用しない)と同じように単純X線検査となっております。

胸部X線検査(肺など)とは異なり、乳房は柔らかい組織ですので、専用のX線を使用します。

X線を使用しているので、前述同様に妊娠している方などはお医者様に相談をした方がいいと思います。

④電磁波検査:コンピュータ断層撮影(CT)

対象部位対象疾患
脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳動脈瘤、能動静脈奇形、脳石灰化巣、水頭症、脳浮腫、etc
肺・胸部肺癌、肺結核、肺炎、肺気腫、気胸、気管支拡張症、胸部大動脈瘤、大動脈解離、肺線維症、縦隔腫瘍、胸水、サルコイドーシス、etc
上腹部の臓器肝臓癌、肝硬変、胆嚢癌、胆管癌、胆道閉鎖、胆石、総胆管結石、腎臓癌、腎嚢胞、水腎症、尿管結石、副腎癌、膵臓癌、膵炎、後腹膜腫瘍、etc
下腹部の臓器膀胱癌、前立腺癌、前立腺肥大症、子宮癌、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮奇形、卵巣癌、卵巣嚢腫、etc
その他リンパ節腫大、悪性リンパ腫、骨肉腫、多発性脳髄種、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 121-122ページ

コンピュータ断層撮影(Computed Tomography)は略して”CT検査”とも呼ばれ、X線を身体の周囲から当てて、吸収率の違いをコンピューターで処理し、身体の断面を画像化して異常がないかを調べる検査となっています。

現在は、X線を任意の方向から当てることで、断面だけではなく三次元画像としても映し出すことができます。

またより詳細な画像を得るために、点滴により造影剤を投与する方法もあります。

これまでにも記載のように、X線を使用するため、頻繁には検査を行うことができないということを念頭に置いておかないいけませんね。とはいえ、これらに関してはお医者様がしっかりと管理してくださると思うので、過度に心配することはないと思います!

⑤電磁波検査:磁気共鳴断層撮影(MRI)

対象部位対象疾患
脳・脊髄脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳動脈瘤、脊髄腫瘍、脊髄梗塞、脊髄空洞症、脊柱管狭窄症、多発性硬化症、etc
胸部肺癌、乳癌、etc
腹部肝臓癌、肝血管腫、膵臓癌、腎臓癌、副腎癌、脾臓癌、etc
骨盤内子宮癌、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣癌、卵巣嚢腫、etc
その他椎間板ヘルニア、半月板断裂、靭帯損傷、耳鼻咽喉科系腫瘍、眼科系腫瘍、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 123-124ページ

さて電磁波検査の最後の項目になります。磁気共鳴断層撮影”MRI”についてです。
そもそもMRIとは、”Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)”の略で、これまでのX線を使う検査ではなく、”磁気”を使った検査となっています。すなわちX線による被曝の心配がなくなるということです。

この検査の原理としては、とても強力な磁石の中に入り一定の周波数をかけることで、私たちの体内の水素原子核(※)が振動現象を起こし、電気信号を発します。この電気信号をコンピュータで処理し画像化して、体内に異常がないかを調べる検査となっております。
検査対象は骨も含む全身になります。

※私たちの体内の半分以上は水分、すなわち水素原子で構成されています。
※より詳細な原理に関しては、こちら(MRIとは | キヤノンメディカルシステムズ株式会社)にとても分かりやすくまとめておりますので、ご高覧ください。

まとめ

今回は、電磁波による検査についてまとめてみましたが、いかがでしたか?

体内の状態を画像として見ることはとても画期的な検査方法ですね。X線を用いる検査とはいえ、結局はお医者様の判断で行うので、被曝など過度に心配もしなくても大丈夫なのかなと思っています。

一方で、X線検査を受ける際には、妊娠の有無などご自身でも気をつけておかないといけないことがわかりましたね。

以下に、今回の内容をざっくり整理しておきますね。

胸部X線:対象部位胸部X線:対象疾患
肺癌、肺結核、肺気腫、肺線維、肺炎、気胸、胸膜炎、胸水、etc
その他気管支炎、心肥大、縦隔腫瘍、胸腺腫瘍、大動脈瘤、変形性脊椎症、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 72-73ページ
消化管X線:対象部位消化管X線:対象疾患
上部|食道食道炎、食道腫瘍、食道癌、食道ポリープ、食道静脈瘤、食道狭窄、食道裂孔ヘルニア、etc
上部|胃胃潰瘍、胃癌、胃ポリープ、胃炎、胃静脈瘤、胃憩室、急性胃粘膜病変、胃巨大しゅう襞、etc
上部|十二指腸十二指腸潰瘍、十二指腸ポリープ、十二指腸憩室、膵頭部疾患、etc
下部|大腸大腸癌、大腸ポリープ、大腸憩室、潰瘍性大腸炎、大腸結核、家族性大腸腺腫症、感染性腸炎、クローン病、etc
下部|直腸直腸癌、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 74-75, 118-119ページ
マンモグラフィー:対象部位マンモグラフィー:対象疾患
乳房乳癌、乳腺線維腺腫、乳腺症、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 76-77ページ
CT:対象部位CT:対象疾患
脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳動脈瘤、能動静脈奇形、脳石灰化巣、水頭症、脳浮腫、etc
肺・胸部肺癌、肺結核、肺炎、肺気腫、気胸、気管支拡張症、胸部大動脈瘤、大動脈解離、肺線維症、縦隔腫瘍、胸水、サルコイドーシス、etc
上腹部の臓器肝臓癌、肝硬変、胆嚢癌、胆管癌、胆道閉鎖、胆石、総胆管結石、腎臓癌、腎嚢胞、水腎症、尿管結石、副腎癌、膵臓癌、膵炎、後腹膜腫瘍、etc
下腹部の臓器膀胱癌、前立腺癌、前立腺肥大症、子宮癌、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮奇形、卵巣癌、卵巣嚢腫、etc
その他リンパ節腫大、悪性リンパ腫、骨肉腫、多発性脳髄種、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 121-122ページ
MRI:対象部位MRI:対象疾患
脳・脊髄脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳動脈瘤、脊髄腫瘍、脊髄梗塞、脊髄空洞症、脊柱管狭窄症、多発性硬化症、etc
胸部肺癌、乳癌、etc
腹部肝臓癌、肝血管腫、膵臓癌、腎臓癌、副腎癌、脾臓癌、etc
骨盤内子宮癌、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣癌、卵巣嚢腫、etc
その他椎間板ヘルニア、半月板断裂、靭帯損傷、耳鼻咽喉科系腫瘍、眼科系腫瘍、etc
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 123-124ページ

次回は、いよいよ定期健康診断の最後となる「体内測定による検査(電気)」についてまとめていきたいと思います!

それでは今回はこの辺で。。。(パタリ)

参考文献

1)放射線研究の幕開け ~レントゲンによるX線の発見~ | 原子力災害専門家グループ | 東電福島原発・放射能関連情報 | 首相官邸ホームページ

ABOUT ME
ナミキ
ナミキ
食品の「栄養化学」「食品生理機能学」に関する研究者
こんにちは、ナミキと申します!
私は京都大学で食品成分が持つ栄養やそれらが生体に及ぼす効果に関する研究を行っておりました。
そして現在は企業で食品の成分が持つ機能性についての研究をしております。

このサイトでは、食品の成分がどのような機能性を持っているのか、身体にどのような作用を及ぼすのかを体系的に学ぶことができるよう、情報発信をできればと思っております。
情報源としては、各省庁や各学会のホームページ、市販されている諸先生方の書籍、医学系文献データベースのPubmedなどを用いて、身近な物事について触れていきたいと思います。

基本的なことから少し踏み込んだことも含め、少しでも皆さんの日常生活に役立つような情報となれば幸いです(^^)
よろしくお願いします!
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