健康診断の項目|その3-1:尿・糞便による検査(尿)
こんにちは、ナミキです!
前回(血液による検査:痛風)までは血液による検査について紹介してきましたが、今回と次回は尿・糞便による検査について紹介していきたいと思います。
- 血液による検査(糖代謝・脂質代謝・血球)
- 血液による検査(肝臓機能・腎臓機能・痛風)
- 尿・糞便による検査 ➡︎今回は尿!
- 体外測定による検査(体組成・視力・聴力など)
- 体内測定による検査(腹部超音波・心電図など)
尿や糞便というのは、身体に不要となったものでありますが、そこから得られる情報は非常に重要なものばかりです。また血液を採取するよりも身体に負担が少ない(非侵襲)ため、診断を受ける方にとっては苦にはならないでしょう。
このことから現在では、様々な疾患を尿や糞便から推測できないかとの研究が進められております。
今回は尿ついての紹介です。それでは早速中身を見ていきましょう!
①尿検査|尿糖
判定区分 | 尿糖 |
---|---|
基準値(定性) | 陰性:- , 疑陽性:± , 陽性:+ |
基準値(定量) | 20 mg/dL以下(随時尿) |
基準値(定量) | 40-85 mg/日(1回量) |
尿糖とはその名の通り、尿中に糖が現れることなのですが、では実際にどのようにして起こるのでしょうか。
一般的に、血液中にはある一定量の糖質が溶け込んでいます。しかし、血糖値を下げる働きのあるホルモンである”インスリン”の効果が効きにくくなる”インスリン抵抗性”などにより、血糖値が下がらない状態が続くと身体に様々な悪い症状を引き起こすことになります。
血液を濾過する腎臓では、糖質を再吸収する能力が備わっているのですが、血糖値が一定量(160-180 mg/dL)以上になると再吸収能力が追いつかなくなり、尿中に糖質が現れることになるのです。1)
※もし腎臓で糖質が再吸収されないと血糖値が下がり続ける、すなわち身体や脳を動かすエネルギー源がなくなり、様々な疾患に陥ってしまうのです。
尿糖検査には、試験紙を使う”定性検査”と採尿して尿中糖質量を調べる”定量検査”があります。通常の健康診断では、定性検査が用いられています。糖尿病などを発見することを目的としています。
②尿検査|尿タンパク
判定区分 | 尿タンパク |
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基準値(定性) | 陰性:- , 疑陽性:± , 陽性:+,2+ |
基準値(定量)※再検査 | 陰性:15 mg/dL以下 |
基準値(定量)※再検査 | 疑陽性:15-30 mg/dL |
基準値(定量)※再検査 | 陽性:30 mg/dL以上 |
尿タンパクとは、その名の通り尿中にタンパク質が現れるものになります。体内(血液中)のタンパク質は、身体には必要な成分であるので、腎臓である程度は濾過されるものの、1日あたり少量しか排泄されません。
しかし腎臓の機能が低下すると、体内に再吸収されるはずのタンパク質が再吸収されず、排泄されてしまいます。また尿路に異常があってタンパク質が漏れ出る可能性もあります。すなわち、この検査項目では腎臓や尿路に異常がないかを調べるものとなっております。
通常では、まず試験紙を用いた定性的な検査にて尿タンパクの度合いを調べます。もしその結果で陽性であれば、再検査や定量的(24時間溜めた1日尿を用いる)な検査を行うことになります。2)
③尿検査|尿潜血
判定区分 | 尿潜血 |
---|---|
基準値(定性) | 陰性:- , 疑陽性:± , 陽性:+,2+ |
尿潜血とは、あまり効き馴染みのない言葉かもしれませんが、字の如く”尿中に血液が潜んでいる”ということですね。これは尿の通り道となる腎臓や尿管、膀胱や尿道などのどこかに出血があると尿中に血液が混ざるのです。すなわち、腎臓や尿路などに異常がないかどうかを調べる目的があります。
尿潜血は、尿中の肉眼では確認できない血液を検出する検査であり、尿タンパク同様に試験紙を使って検査します。この結果で陽性となった場合は、尿沈渣で尿中の赤血球数を調べます。
④尿検査|尿沈渣
判定区分 | 尿沈渣 |
---|---|
基準値(赤血球) | 1HPFに5個以内 |
基準値(白血球) | 1HPFに5個以内 |
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 110-111ページ
尿沈渣とは、尿を試験管に入れ遠心分離した後にできる沈殿物のことで、この検査では沈殿物の種類によって様々な病気の手がかりを得る目的があります。一般的に尿沈渣検査は、尿タンパク検査や尿潜血検査などで異常があった場合に行われる二次検査になります。
※遠心分離:遠心力を利用して、異なる密度を持つ物質を分離すること。
沈殿物には様々な物質がありますが、今回は赤血球と白血球について取り上げたいと思います。赤血球の場合は尿潜血を伴う病気について、白血球の場合は炎症を伴う病気について調べています。あくまでも尿を調べているので、尿に関連する腎臓や泌尿器に問題がないかを調べているものとなっているのです。
まとめ
今回は、尿検査の項目についてまとめてみましたが、いかがでしたか?
尿自体は血液と違って採取しやすい検体で助かりますが、そこからわかる情報は様々なものばかりですね。現在は糖尿病や腎臓・泌尿器関連のものばかりですが、この他にも全身の疾患がわかるようになれば血液採取をしなくても良くなりますね。
以下に、今回の内容をざっくり整理しておきますね。
判定区分 | 尿糖 |
---|---|
基準値(定性) | 陰性:- , 疑陽性:± , 陽性:+ |
基準値(定量) | 20 mg/dL以下(随時尿) |
基準値(定量) | 40-85 mg/日(1回量) |
判定区分 | 尿タンパク |
---|---|
基準値(定性) | 陰性:- , 疑陽性:± , 陽性:+,2+ |
基準値(定量)※再検査 | 陰性:15 mg/dL以下 |
基準値(定量)※再検査 | 疑陽性:15-30 mg/dL |
基準値(定量)※再検査 | 陽性:30 mg/dL以上 |
判定区分 | 尿潜血 |
---|---|
基準値(定性) | 陰性:- , 疑陽性:± , 陽性:+,2+ |
判定区分 | 尿沈渣 |
---|---|
基準値(赤血球) | 1HPFに5個以内 |
基準値(白血球) | 1HPFに5個以内 |
出典:祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 110-111ページ
次回は糞便による検査についてまとめていきたいと思います!
それでは今回はこの辺で。。。(パタリ)
参考文献
2)祝田 靖・深見 公子「病院で受ける検査と数値がわかる事典」, 成美堂出版, 2017年12月, 64-65ページ