脂質

脂質とは

hyaaajiro@moriya

こんにちは、ナミキです!

今回も前回に続き五大栄養素の一つで、かつ三大栄養素の一つでもある「脂質」についてまとめてみました。

前回のタンパク質はかなり複雑だったと思うのですが、今回の脂質については複雑だけどまだ理解しやすい方だと思いますので、ぜひ読んでみてください!

ちなみに、前回の【タンパク質とは】の記事も載せておきますので、こちらもぜひ読んでいただけると嬉しいです。

  1. そもそも脂質とは
  2. 脂質を含む食品
  3. 脂質の摂取による身体へ及ぼす様々な作用

①そもそも脂質とは

脂質は、私たちの身体に含まれているものの中で「水(約60%)」「タンパク質(20%)」の次に多く、約15%と重要な成分となっております。

ちなみに残りの約5%は、「炭水化物」「ミネラル」「核酸」などになります。

炭水化物ってそんなに少ないんだ?と思われる方もいらっしゃると思いますが、【糖質とは】の記事の時にも触れましたように、肝臓や筋肉にグリコーゲン(多糖類)として蓄えた後、不要となった糖質は脂質に代謝(変換)されて脂肪として蓄えることになるからです。

以上のように、私たちの体を構成する脂質の割合については大まかに理解できたと思います。

それでは次に、その脂質の中身について見ていきましょう。

私たちに最も馴染みのある脂質といえば、、、そうです、内臓脂肪・皮下脂肪ですよね!(笑)

私は企業で、体脂肪低下など身体の代謝に関する研究を行なっているのですが、私自身のお腹周りには少しずつ脂肪がつき始めており、最近ではジムに通っているという始末です。。。

こういうのは研究者パラドックスというのでしょうか?(笑)

少し話が逸れてしまいましたが、私たちの身体に多く含んでいる脂質としては、「内臓脂肪」「皮下脂肪」があります。

今回は大まかな説明ですが、「内臓脂肪」は内臓を保護する脂肪で、「皮下脂肪」は物理的な刺激(衝撃)から身体を守ってくれるクッションの働きをする脂肪です。

こう聞くと、両方とも大切じゃん!となるのですが、皆さんご想像の通りで過剰にあると身体にはよろしくありません。

体脂肪(内臓脂肪+皮下脂肪)については、また別の記事で触れていきたいと思います。

さて脂質についてですが、糖質やタンパク質と同じように総称の名前となっております。

大まかに分類すると、「単純脂質」「複合脂質」「誘導脂質」となります。

「単純脂質」➡︎中性脂肪など

「複合脂質」➡︎リン脂質など

「誘導脂質」➡︎脂肪酸、コレステロールなど

ここで押さえていただきたいポイントとしては、中性脂肪は別名(※)「トリアシルグリセロール」と言い、三つ(トリ)の脂肪酸(アシル)がくっついた骨格(グリセロール)というような意味合いになります。

※厳密には違いますが、一般的な別名ということで記載しております。

ちなみに脂肪酸といのは、「オレイン酸」「リノール酸」「ドコサヘキサエン酸(DHA)」「エイコサペンタエン酸(EPA)」などのことです。

皆さんが普段食品から摂取している脂質は、脂肪酸ではなく脂肪酸がくっついた中性脂肪やリン脂質となるのです。

各種脂肪酸の性質などについても非常に興味ふかいので記載していきたいのですが、それはまた別の記事にて行いますね。

【ちょこっと豆知識】

食品中の「中性脂肪」➡︎皆さんがイメージされているような油脂(水に馴染まない)

食品中の「リン脂質」➡︎鶏卵黄や魚卵、大豆レシチンなど(水に馴染む)

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット リン脂質

②脂質を含む食品

脂質を含む食品については、想像しやすいと思いますが、今回は「油脂」という観点で見ていきましょう。

ちなみに、油脂はどちらの漢字も「あぶら」と読みますが、「油」はサンズイがついていることもあって常温で液体状のあぶらで、「脂」は常温で固体状のあぶらという意味合いです。

「動物性油脂」➡︎ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、チーユ(鶏油)、魚油、乳脂肪、etc

「植物性油脂」➡︎キャノーラ油、ごま油、ひまわり油、サフラワー油、etc

こうやってみると、どちらが液体でどちらが固体なのかが一目瞭然ですね!

タンパク質の栄養価を示す指標として、「アミノ酸スコア」というものがあることを別の記事で紹介しましたが、脂質の栄養価?を示すものとしては「n-3/n-6比」というものがしばしば用いられております。

少し複雑になってしまいますが、固体の脂は「飽和脂肪酸」というものが含まれており、液体の油は「不飽和脂肪酸」というものが含まれております。

この不飽和脂肪酸の中でも、化学的に二重結合というものを多く含んでいる脂肪酸を「多価不飽和脂肪酸」と言います。

さらにこの多価不飽和脂肪酸の中でも、二重結合の位置の違いでn-3系、n-6系、n-9系などの脂肪酸に分類されます。

nではなくω(オメガ)が使われることもありますね。

具体的には、n-3系脂肪酸(ω3系脂肪酸)は魚油に含まれるDHAやEPA、n-6系脂肪酸(ω6系脂肪酸)大豆油などに含まれるリノール酸、n-9系脂肪酸(ω9系脂肪酸)はオリーブオイルなどに含まれるオレイン酸などが挙げられます。

これらはどれも「必須脂肪酸(※)」と呼ばれ、身体には必要な脂肪酸ではあるのですが、n-6系脂肪酸は代謝物(変換物)が炎症作用をもたらすことから、過剰に摂取するのはお勧めできません。

※必須アミノ酸同様に、生体内で合成が難しい脂肪酸のこと。

一方、n-3系脂肪酸は逆に抗炎症作用をもたらすため、一般的には身体に良い作用をもたらすことが知られています。

そこで指標となるのが「n-3/n-6比」で、値が大きいと身体には良い作用をもたらしてくれるのですが、値が大きすぎる、すなわちn-6系脂肪酸が少なすぎるのもあまりおすすめはできないので注意が必要です。

③脂質の摂取による身体へ及ぼす様々な作用

それでは実際に脂質を含んだ食品を摂取すると、身体にはどのような作用を及ぼすのかについて見ていきましょう。

ここでポイントとなるのが、中性脂肪やリン脂質に含まれる脂肪酸の種類です。

先ほども紹介しましたように、飽和脂肪酸か不飽和脂肪酸なのかがまず重要です。

「飽和脂肪酸」➡︎内臓脂肪や皮下脂肪などの体脂肪蓄積を促す脂肪酸。

「n-3系脂肪酸」➡︎体脂肪蓄積を抑制してくれる脂肪酸。代謝物が抗炎症作用。

「n-6系脂肪酸」➡︎体脂肪蓄積を促す脂肪酸。代謝物が炎症作用。

「n-9系脂肪酸」➡︎冠動脈性心疾患のリスク低減。

他にも様々な作用があるのですが、それはまた別の記事で詳しく紹介していきますね。

上記に記載した作用はほんの一部なので、一概に良い悪いという観点で理解するのは注意が必要です。

どの成分にも共通して言えることが、過剰に摂取・不足することは身体には良くありません。

バランスよく摂取することが重要なのです。

まとめ

今回は脂質について、大まかな概要をまとめて見ました。

脂質は、食欲を掻き立てる栄養素ということもあり、ついつい摂取しすぎてしまう成分なのですが、摂取量には注意しないといけませんね。

今後は脂質の体内への消化・吸収・代謝(変換)等について、また別の記事で紹介していきたいと思います。

それでは今回はこの辺で。。。(パタリ)

ABOUT ME
ナミキ
ナミキ
食品の「栄養化学」「食品生理機能学」に関する研究者
こんにちは、ナミキと申します!
私は京都大学で食品成分が持つ栄養やそれらが生体に及ぼす効果に関する研究を行っておりました。
そして現在は企業で食品の成分が持つ機能性についての研究をしております。

このサイトでは、食品の成分がどのような機能性を持っているのか、身体にどのような作用を及ぼすのかを体系的に学ぶことができるよう、情報発信をできればと思っております。
情報源としては、各省庁や各学会のホームページ、市販されている諸先生方の書籍、医学系文献データベースのPubmedなどを用いて、身近な物事について触れていきたいと思います。

基本的なことから少し踏み込んだことも含め、少しでも皆さんの日常生活に役立つような情報となれば幸いです(^^)
よろしくお願いします!
記事URLをコピーしました