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近年話題の【NMN】とは?その効果は?サプリメントで摂取?わかりやすく解説したい!

hyaaajiro@moriya

こんにちはナミキです!

今回は”NMN”についてまとめてみました。
NMNはアンチエイジングなどに有効な成分として、近年注目されている成分です!

とはいっても、そもそも何の略?、食品成分的にはどういうものに分類されるの?、どういう効果があるの?、など疑問が様々あります。
そこで今回はNMNの基本的なことから作用メカニズムを含めて、紹介していきたいと思います!

それでは早速中身を見ていきましょう!

①NMNとは?概要について

そもそもNMNとは、”ニコチンモノヌクレオチド(Nicotinamide Mononucleotide)”の略で、必須アミノ酸のトリプトファンビタミンB3(ナイアシン)を材料として生体内で合成される物質です。
このNMNは生体内で合成された後、私たちの身体における生体反応に必要な補酵素 NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド:Nicotinamide Adenine Dinucleotide)に変換され、エネルギー産生やDNA 損傷の修復、遺伝子発現の制御など様々な機能を発揮します。
生体内のNADの量は加齢とともに減少することが知られており、これが老化の原因の一つと考えられています。1)

※NADは、酸化型であるNAD+還元型であるNADHの間で電子のやり取りをすることで、様々な酸化還元反応を補助しています。本記事では、NADで統一して記載しております。

近年の研究でわかってきたことが、このNADが長寿遺伝子である”サーチュイン遺伝子”の発現を活性化するということです。すなわち、このサーチュイン遺伝子が活性化することで、抗老化(アンチエイジング)などに効果があると言われているのです。
NADをそのまま摂取したいのですが、NAD自体は分子量が大きく吸収性が良くないため、NMNでの摂取の方がいいとのことです。

ちなみにNMNは食品としては、枝豆・ブロッコリー・アボカドなどに含まれていますが、必要量を摂取しようとすると非常に多く食べなければならないので、NMNを効率よく摂取したいのであれば、サプリメントに頼るのがいいかなと思います。
一方で、NMNには光学異性体としてα型、β型の2種類が存在しておりますが、ヒトの生体内で作られるのはβ型NMNなので、サプリメントで摂取する際にはβ型NMNであることの方が都合が良いと言われています。

【興味深いポイント!】

哺乳類におけるNADの生合成経路としては、3つの経路が知られていますが、必須アミノ酸のトリプトファンから合成するde novo経路よりも、NAM(ニコチンアミド)やNMNから合成する”サルベージ経路”の方が主要な経路であることが報告されているので、ビタミンB3やNMNを摂取するのが良さそうです。

※ビタミンB3(ナイアシン):ニコチン酸とニコチンアミドの総称。
※Preiss-Handler経路は、ニコチン酸からの生合成となる。

出典:中川 崇. Nmnat3を介したNADの合成経路と老化制御における役割. Journal of Japanese Biochemical Society 92(4): 572-576 (2020)

②NMNの効果は?メカニズムは?

NMN(NRも含む)の効果としては、以下のようなことが報告されています2)3)
ニコチンアミドリボシド(NR:Nicotinamide Riboside)もNADの前駆物質として、様々な研究が行われいます。

NAD自体は補酵素ということで、非常に多くの代謝に関わっています。そのため、NAD自体の減少が、老化に伴う様々な病気などを引き起こしているのであろうと考えています。

  • 抗炎症作用
  • 抗老化作用
  • 心臓保護
  • 神経保護
  • エネルギー代謝亢進
  • エピジェネティックの調節
  • 腸内細菌叢の調節
  • etc

【興味深いポイント!】

NADの前駆物質として、NMNを本記事では紹介していますが、以下のレビュー文献ではNRについても触れていました。
植物でも生合成経路があるということから、植物にもNMNやNRが含まれているということがわかりますね!

A:ヒトにおけるNAD生合成経路
B:植物におけるNAD生合成経路

出典:Gabriela Fabiana Soares Alegre, et al. NAD+ Precursors Nicotinamide Mononucleotide (NMN) and Nicotinamide Riboside (NR): Potential Dietary Contribution to Health. Curr Nutr Rep . 2023 Sep;12(3):445-464.

【興味深いポイント!】

上記でも記載した通り、NAD自体は老化により減少することが知られています。すなわちNADの量が減少しない、もしくは増加させることができれば老化の速度を遅くすることができる、というわけですね。
下図のように、NADを消費する酵素(Sirtuins, CD38/CD157, PARP, TNKS, BST1)が働き、NADレベルが低下することで代謝も低下し、老化が進む。そのため、NADの補充(合成)が必要になるということですね。

出典:Harshani Nadeeshani, et al. Nicotinamide mononucleotide (NMN) as an anti-aging health product – Promises and safety concerns. J Adv Res . 2021 Aug 11:37:267-278.

【興味深いポイント!】

日本の健常成人男女30名を対象として、1日250 mgのNMNまたはプラセボを12週間にわたって連日摂取し、安全性・代謝への影響を検討した試験。
その結果、NMN群、プラセボ群とも重篤な有害事象は認められなかった。
NNN群では摂取開始後4週よりNADレベルの上昇がみられた一方、摂取終了後4週(摂取開
始後16週)の時点で摂取開始前と同レベルに戻り、NADレベルの維持には摂取の継続が必要であることが示された。

NMNの最適な摂取量は、今のところ定まっていないようですが、以下の文献の結果から1日250 mgを摂取すると血中NAD量は増加しているので、まずはこの量を目安にするといいのではないかと考えております。

出典:抗老化作用を発揮する栄養成分 ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)のヒトでの安全性、代謝への影響を解明|富山大学(2022年4月12日)

③まとめ

今回は”NMN”についてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。
少し複雑なことまで記載したので、わかりにくいところもあったかと思います。
私が重要だなと思ったことを以下に箇条書きで書いてみました。

  • NMNおよびNRは、NADの前駆物質。
  • NMNというよりも、その後に合成されたNADによる健康への寄与が注目するところ。
  • NADは年齢とともに減少するので、NADを減少させないor増加させることが重要。
  • NADは体内で様々な代謝の補酵素として働くので、NAD減少が老化につながる。
  • NMN摂取により期待できる効果として、①抗炎症作用、②抗老化作用、③心臓保護、④神経保護、⑤エネルギー代謝亢進、⑥エピジェネティックの調節、⑦腸内細菌叢の調節、⑧etcがある。
  • NMNは食品からも摂取できるが、相当量を食べなければならないので、サプリメントの形態の方が良い(と私は思います)。
  • サプリメントで摂取する場合には、β型NMNであることを確認する。
  • 最適量は決まっていないが、250 mg/日のNMNを摂取することで、血中NADが増加することがわかっている。しかし、摂取を続けなければ、次第にNAD量は減少することに注意。

それでは今回はこの辺で。。。(パタリ)

④参考資料

1)抗老化作用を発揮する栄養成分 ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)のヒトでの安全性、代謝への影響を解明|富山大学(2022年4月12日)
2)Gabriela Fabiana Soares Alegre, et al. NAD+ Precursors Nicotinamide Mononucleotide (NMN) and Nicotinamide Riboside (NR): Potential Dietary Contribution to Health. Curr Nutr Rep . 2023 Sep;12(3):445-464.
3)Harshani Nadeeshani, et al. Nicotinamide mononucleotide (NMN) as an anti-aging health product – Promises and safety concerns. J Adv Res . 2021 Aug 11:37:267-278.

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ナミキ
ナミキ
食品の「栄養化学」「食品生理機能学」に関する研究者
こんにちは、ナミキと申します!
私は京都大学で食品成分が持つ栄養やそれらが生体に及ぼす効果に関する研究を行っておりました。
そして現在は企業で食品の成分が持つ機能性についての研究をしております。

このサイトでは、食品の成分がどのような機能性を持っているのか、身体にどのような作用を及ぼすのかを体系的に学ぶことができるよう、情報発信をできればと思っております。
情報源としては、各省庁や各学会のホームページ、市販されている諸先生方の書籍、医学系文献データベースのPubmedなどを用いて、身近な物事について触れていきたいと思います。

基本的なことから少し踏み込んだことも含め、少しでも皆さんの日常生活に役立つような情報となれば幸いです(^^)
よろしくお願いします!
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